食品の製造と流通が世界規模で行われるようになっており、食品業界ではより効果的な衛生管理手法が求められていました。日本では2021年から、HACCPという新しい衛生管理手法の導入と運用が全ての食品関連企業に義務付けられています。HACCPはハサップと呼ばれており、事業所全体でチームを結成し全ての工程を細分化して衛生管理を行うのが特徴です。この衛生管理手法は危害要因分析と重要管理点という概念で構成されていて、以前広く行われていた抜き打ち検査よりも効果的に不良品の発生と出荷を防げます。
危害要因とは微生物や化学物質、異物など健康に被害を及ぼす可能性があるもののことです。HACCPではこれらが食品に混入することで起きる健康被害を予測し、具体的な管理方法を定めます。危害要因の分析に基づいて全工程を細分化しリスクの管理を行いますが、特に重要な工程が重要管理点とされます。重要管理点ではより厳格な基準が適用され、連続的かつ継続的な監視と記録が行われています。
従来の抜き打ち検査では包装から出荷までの段階で一部の製品のみを調べていたため、不良品の発生と出荷を防げませんでした。HACCPは全工程が管理対象であり重要管理点では特に厳格なリスク管理が行われます。従来の方法よりも効果的に不良品の発生と出荷を防げるだけでなく、万が一トラブルが起きた場合には素早く問題のある工程を見付けることができます。HACCPは非常に優れた衛生管理手法であり、食品関連企業における生産性の向上に貢献しています。